股関節の症状を抱える方の多くは、医療機関でレントゲンを撮ってもらい、変形性股関節症(股関節OA)とドクターに伝えられ、今すぐ手術もしくは一旦リハビリで様子をみるのどちらかを薦められることが多いのが現状です。
そんな中で、早く手術をした方が良いのか?それともリハビリや施術を受けた方が良いのか?悩まれる方も多いのではないかと思います。
当院にもそのような選択肢の中から「何を選択すれば良いのかよくわからない!」と悩まれる方が多く来院されています。
その中でも「実際ドクターから薦められたけど、手術ってどんなことするの?」と疑問に思う方も多いと思いますので、今回は人工股関節全置換術(THA)[※以下、THAとする]について皆さんにわかりやすく解説していきたいと思います!
是非、上記の手術を受けるか悩まれている方は参考にしてみて下さいね!
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▼THAとは?
人工関節全置換術(Total Hip Arthroplasty、略してTHA)は、大腿骨頭と寛骨臼の両方を人工のものに置き換える術式です。
高い除痛効果と歩行能力の改善が期待できますが、人工関節の耐久年数に限界があるため(約15年〜20年 ※個人差があります)、若い方に対して行う場合、摩耗度合いによっては再度手術が必要になることもあります。
▼手術方法
THAでは、変形した大腿骨頭を大腿骨頸部から切除し、寛骨臼側にソケット、大腿骨側にヘッド(人工骨頭)およびステムを設置し、それぞれの骨に固定されます。
THAの固定法には、骨セメントを用いて固定するセメント固定と、骨セメントを用いずに固定するセメントレス固定がありますが、近年はセメントレス固定が主流となりつつあります。
従来、使われる素材としてライナーにはポリエチレン、ヘッドには金属またはセラミックが用いられてきましたが、ポリエチレンの摩耗による骨溶解や、関節面を金属同士にした場合の有害性が問題となり、近年では、高度架橋ポリエチレン製のライナーや、セラミック同士の関節面を使用したTHAも行われてきているようです。
▼適応基準
THAの適応に関しては、進行期・末期の変形性股関節症(股関節OA)、高齢者(60歳以上)とされています。
▼合併症リスク
THAの合併症としては、静脈血栓塞栓症(VTE)や感染、脱臼、人工関節のゆるみなどに注意する必要があります。
▼脱臼
THAには術後、脱臼のリスクが伴います。
以下に、THAによる脱臼リスクに関連する主な要因をまとめましたので、詳しく説明していきたいと思います。
1.手術後のリハビリテーション
THA手術後、リハビリをしっかりと行うことが非常に重要です。
リハビリを怠ると、周囲の筋肉が弱まり、股関節の安定性が低下する可能性があり、これが脱臼のリスクを高めます。
2.姿勢と運動
特定の姿勢や運動は、人工股関節の脱臼リスクを増加させることがあります。
例えば、股関節が特定の角度で曲げるまたは伸ばし過ぎること、または股関節を内外に過度に捻ることが脱臼の原因となることがあります。
例としては、女の子座りや靴を脱ぐ動作、和式トイレ使用時などの深く地面までしゃがむ動作、無理な方向への寝返り時などで脱臼してしまうことが多いです。
3.過度な負荷
人工股関節に過度な負荷がかかると、脱臼のリスクが増加します。
例えば、重い物を持ち上げたり、急激な動作を行ったりすると脱臼を引き起こす可能性があります。
4.基礎疾患
基礎疾患や体質によっても脱臼のリスクが異なります。
骨密度の低下や筋力の減少、または既存の骨の異常がある場合、脱臼のリスクが高まる可能性があります。
5.外傷
転倒や急激な外傷を受けた場合、人工股関節が脱臼する可能性があります。
以上の点がTHA後の脱臼に関連する主な要因となりますが、上記の内、しっかりと理解した上で注意しておけば回避できる要素も多くあります。
そのため、医療機関での指示をよく聞いて遵守する必要があります。
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皆さん、いかがだったでしょうか?
手術と聞くと、様々な不安を抱える方も多いと思います。
そんな方々に少しでも知識として伝わり、不安の解消や今後の方向性に対する判断材料としていただけたら幸いです。
今回の内容は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!