股関節のお悩みで最も多い症状が歩行中の痛みです。
では、実際に歩行中の股関節にかかる荷重負荷はどれくらいのものなのでしょうか?
まずは股関節の解剖の知識を整理した上で、今回はそちらについて詳しく解説していきたいと思います!
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▼股関節の構造
股関節は、寛骨(※腸骨、坐骨、恥骨が結合して構成する骨のこと)と大腿骨から構成されており、骨盤側にある寛骨臼と呼ばれるカップが大腿骨先端部の球体状の形をした大腿骨頭を包み込むような構造の球関節となっています。
股関節は、体重を支えるための重要な関節であり、高い安定性と広い可動域を合わせもっています。
股関節の安定性は、骨と軟部組織と呼ばれる関節包とその周囲の靭帯や筋肉によって支えられています。
また、大腿骨先端部の周囲には、複数の動脈も分布しています。
▼大腿骨の角度「頸体角」と「前捻角」
頸体角とは、大腿骨先端部の球体状の形をした大腿骨頭の中心とその下の大腿骨頸部の中心を通る軸と大腿骨の骨幹部の長軸がなす角度のことを言います。
頸体角が異常に小さいと「内反股」と呼ばれ、異常に大きいと「外反股」の原因となります。
正常角度は、
・新生児:140〜160°
・成人:約130°
・高齢者:約120°
と言われています。
前捻角とは、大腿骨頸部の軸と大腿骨を水平面上で頭側(上方)からみて横方向に水平に引いた線の軸がなす角度のことを言います。
正常では、大腿骨頸部は前方に捻れており(前捻)、後方に捻れる(後捻)のは異常な状態と言われています。
正常角度は、
・新生児:30〜40°
・成人:15〜20°
と言われています。
▼股関節にかかる荷重負荷
上記の解剖的な観点を踏まえ、次に今回のテーマである、股関節にかかる荷重負荷について解説していきたいと思います。
股関節にかかる荷重(大腿骨頭にかかる力)は、運動によって以下のように変化します。
例:体重60kgの方の場合
・両脚立位→体重の約1/3。左右の股関節にそれぞれ約20kgの荷重負荷がかかる。
・片脚立位→体重の約3倍。片側の股関節に約180kgの荷重負荷がかかる。
・歩行中→体重の2〜4倍※。左右の股関節にそれぞれ120〜240kgの荷重負荷がかかる。
・走行中→体重の4〜5倍※。左右の股関節にそれぞれ240〜300kgの荷重負荷がかかる。
※歩行・走行サイクルによって変化する。
上記の通り、歩行中の股関節にはこれ程までの荷重負荷がかかっているのだから驚きですよね!(人間の股関節って凄い・・・!!)
ちなみに、もし仮に体重がこの例以上に重かったとしたら、もっと股関節に荷重負荷が生じることになります・・・。(体重の増加も気をつける必要がありそうですね。)
だからこそ、股関節自体の問題や周囲の組織に何らかの異常が起こると、この荷重を支える機能に破綻が生じて、強い痛みを発生させてしまうことに繋がるのです。
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皆さん、いかがだったでしょうか?
今回お伝えした内容を踏まえて、ご自身の体重コントロールや日々の生活習慣の見直しなどに活かしていっていただければと思います。
今回の内容は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!